お施主さまが子どもの頃から住んでいた住宅を増改築するプロジェクトです。
「この場所で、この家に住み続けたい」
「妻と、生まれたばかりの子ども、飼い猫との今後の生活にあった家に住み替えたい」
一見すると相反するふたつの想いを同時に叶えることが求められました。
既存の構造材のうち、腐食や破損のないものを全て残して利用し、それらを室内に表すことによって、同じ家に住み続けることの象徴としています。
それらの軸組に、針葉樹合板の壁を立体的に巡らせ、これからの住まい方にあうように室を再構成しました。
住宅の建つ北海道江別市は、冬の寒さも厳しく雪も多く降る地域であるため、床断熱・壁断熱・天井断熱の仕様もより良いものとするだけでなく、気密も入念なチェックを行ない「高気密・高断熱住宅」として改修しています。
ふたつの願いがどちらも同じくらいに強いものであることを、そのまま空間に建ち現すことを目指しました。
今後住まい続ける中で、お施主さまがふと表しの柱や梁を見て、前の家の姿に思いを巡らせる日が来ることを願っています。