ホリゾンアーキテクツさんとの共同設計による、幼稚園の新築棟です。
認定こども園として新たなスタートを迎えるため、0歳〜2歳児のための幼児教育・保育スペースが求められました。
幼稚園建築は、法規等の諸条件によって「公共施設」としての大きなスケールで建てられる例も多く見られます。
それは、幼児の身体スケールから考えるととても大きく、気積も巨大になってしまう場合もあります。
教育活動における音環境や、冷暖房の効率・省エネ性にとっても、適切な空間スケールを考える必要があると思われました。
RC造平屋の既存園舎に隣接して建てられるという条件は、木造での建築を可能にし、ヒューマンスケールの親密な空間を生み出せる可能性がありました。
木造の新園舎とRC造の既存園舎が「どちらも魅力的で、どちらも良い」状態、
「別のものであるけれど、デザインによってさりげなくつながりが感じられる」状態を目指しました。
木造ならではの内外にあふれる木のぬくもりの中に、園児が安心して教育・保育を受けられるような住宅スケールの保育室や多目的ホールが並びます。
また、木造が可能にする高い断熱・気密性能は、ランニングコストを抑えながら快適な温熱環境を安定して生み出します。
真夏の直射日光を緩やかに遮り、外での教育活動の可能性が広がる大きな庇空間は、端部が楕円型になっており、既存園舎と呼応して園児や保護者の方々を迎えます。
北広島かおり幼稚園は、職員研修が頻繁に行われていたり、子どものおもちゃや絵本のプロが常駐していたりと、ポジティブでハイレベルな教育活動が行われている幼稚園です。
打ち合わせで訪れる度に、園長先生をはじめ、教職員の皆様の日々の教育活動は本当に素晴らしく、子どもたちが他者に優しく、のびのびと成長している姿がとても印象的でした。
そんな北広島かおり幼稚園が、新園舎の完成によってさらに発展し、子どもたちが生き生きと成長してくれる場が広がることを願っています。
建設中は、北海建工(株)さんをはじめ、電気、設備と本当に良いチームワークが築かれました。
難しい問題や困難な状況が生じた時でも、現場監督さんを中心に明るく前向きに乗り越えていけたことは、創られた建築空間の雰囲気にもしっかり息づいているように思います。
クライアント・施工者・設計者が互いに敬意を持ちあって、協力しあいながら竣工を迎えられました。
「人がつくる建築」のかけがえのない魅力とともに、設計・監理の機会をいただいた(株)ホリゾンアーキテクツの一原さん、本当にありがとうございました!