高砂の囲間

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積雪寒冷地の住宅街に計画された二世帯住宅です。

周囲は高低差のある土地に住宅が比較的密集して建っており、1960年代まで流れていた小さな川の名残によって道路や街区が不規則に設けられています。

広い庭やパノラミックな風景を望むことが難しい寒冷地において、一年を通して開放的に過ごせる家が求められました。

 

一年の約半分が降雪・積雪期となる北海道では、冬期の生活は往々にして屋内の限られた範囲に留められます。

トイレや洗面所など居間以外の部屋は寒く、暖房によって暖められた部屋にこもって生活せざるを得ない家庭は多く、クライアントの家族もそのような生活でした。

「暖かい家で開放的に暮らしたい。」

全世界の積雪寒冷地に住む人々が同じように持っている希望と言ってもよいほど、一般的で、切実な要望がありました。

 

寒冷地住宅においては、大きな外部空間や広大な景色と関係を取ったり、風除室のような半外部空間によって内外の関係性を曖昧にするなど、これまで様々な興味深い試みがなされていますが、この計画では、家の中で最大限に「外」感を得られるよう、様々な仕組みを織り込むこととしました。

 

周囲の家々のほとんどが下屋を持ち、大きなヴォリュームとして建っていないことがリサーチされたことを踏まえ、高さや面積の異なる4つの「囲間(いま)」を重ね合わせて敷地のほぼ中央に配置することとしました。

「囲間」は、高気密高断熱住宅としての性能をもった、断熱層に囲まれた空間を表しており、「○○をする部屋」といった用途的な意味を持たない空間です。

それら4つの「囲間」に、設備機器や収納スペース等が設けられた「内間(うちま)」を計6個、クライアントの生活に合わせて適切に配置しました。

 

家の隅々まで温度がほとんど一定である高気密高断熱住宅の特性と、用途を決めつけないプランニング、家の内部に設けられた「もうひとつの内部」によって、自由でのびやかな「外」の感覚を創り出そうとしました。

 

仕上材は光・陰影や経年変化を楽しめる自然素材を用い、太陽光や季節の移り変わりを映し出すことを目指しています。

 

「冬暖かく開放的に」という要望は、暖房の能力や断熱材の厚さなどの住宅の性能的な話だけに留まるものではないと考えています。

変化に富む、表情豊かな自然が今までよりも鮮明に、印象的にクライアントに体感されること、日々の生活の何気ないひと時をより豊かにすることに対する建築的追求が必要不可欠だと思うのです。

高砂の囲間で、クライアントの脳裏に少しでも、そんな小さな豊かさが芽生えてくれればと願うばかりです。

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