日々建築設計の仕事をしていると、本当にあっという間に時が過ぎていく気がします。

多くのスケッチや図面、打ち合わせを一つひとつ積み重ね、長い時間をかけて出来上がるという建築の特性による部分もあるのかもしれません。

高砂の囲間は、竣工から早くも1年が経ちました。

 

エントランスから広がる土間空間に特徴がある住宅ですが、四季をひと通り経験して、土間の良さが実感できてきたように思います。

土間の持つ「おおらかさ」を感じながら生活するのはとても良いものです。

「靴を履かずに土間を歩ける場所」というのは実は意外に少ないと思いますが、他の床材では感じることのない安定感が足の裏から伝わってきます。

そして「ある程度どのように使っても許される」ということに、開放感や自由、安心を感じるのです。

日常的に子どもの遊び場としても活躍している土間ですが、まだ幼い子どもであってもそれを感じているようです。

 

夏は土間の上がとても涼しく、朝から夜まで持続してくれます。

冬は薪ストーブの熱をしっかり蓄熱し、ストーブが消えたあともじんわり暖かさを届けてくれます。

冷房を用いず、暖房もランニングコストを極力抑えながら、一年中快適な空間をつくるのに大きく役立っています。

薪ストーブの灰や熾火が床に落ちてしまっても何の心配もなく、掃除も容易という点も含め、土間と薪ストーブは好相性と言って良さそうです。

 

もちろん、ヘアクラックが入ったり、物を落とすと壊れやすかったりと、気をつけなければならないこともあります。

それでも、性能としてはもちろん、日々の暮らしで得られる感覚的な部分で、土間にしかない良さは確かにあるなという気がします。

土間のある暮らし、さらに追求していきたいと思います。